
「何のために」を問い続け誕生した、ビジョン起点のブランディング会社
with RecorC

2026年9月12日
東京・南青山を拠点に2006年に設立。多数のアワードを受賞する高いデザイン性を強みに、Web、グラフィック、ブランディング、コンサルティング、サービス開発支援などを幅広く手がける。 デザイン事業に加え、クリエイターコミュニティ「IDID」の運営、スクールやメディア、イベント、東京・名古屋で展開するスニーカーショップなど、多様な事業に取り組む。

自己紹介をお願いいたします。
デザイン会社「ワヴデザイン」の創業者・代表を務める傍ら、クリエイティブディレクターとして現場にも携わっています。ブランディングをはじめ、Webデザインやグラフィック、SNS運用、改善レポートを活用した数値分析まで、幅広い領域のデザインに取り組んでいます。
松本さんが普段から関心を持っているのはどんなことですか?
興味の範囲はかなり広く、さまざまなことにアンテナを張っています。
旅行が好きで、世界一周をしたほか、国内の47都道府県もすべて訪れました。また、15〜16歳頃からファッションに興味があり、新しい洋服をチェックすることも楽しみの一つです。インテリアにも関心があり、家具やライフスタイル雑貨を見て回ることもよくあります。
「ヒマラヤン」という種類の猫を2匹飼っており、猫と関わる時間も大切にしています。また、10歳の娘がいるため、教育や子育てに関する情報にも日頃から触れています。
ありがとうございます。続いて、事業内容と特徴について教えてください。
ワヴデザインはブランディングをはじめ、Webデザインやグラフィック、SNS運用、改善提案などを中心に手がけています。
当社の強みは大きく三つあります。
一つ目は、高品質なデザインです。これまでに多数のアワードを受賞しており、デザイン性の高さを評価いただいています。
二つ目は、提供できるサービスの幅広さです。グラフィックやWeb制作、ロゴデザインに加え、ECサイトの構築や改善レポートを活用した数値分析も行っています。また、SNSの企画・運用やレポート作成、撮影などにも対応しており、幅広い領域でサービスを提供しています。
三つ目は、グローバルブランドや大企業との取引実績が豊富なことです。これまでに上場企業や行政案件にも携わってきました。ソフトバンク、シャープ、凸版、リクルート、ドコモ、NTT、フランフラン、Netflix、TOYOTAなど、多くの企業とお取引があります。
こうした実績が、お客さんに安心感を持っていただく理由の一つになっているのではないかと考えています。
デザイン事業に加えて、コミュニティや教育事業にも携わられていると伺いました。
はい。まずは「IDID」というクリエイターコミュニティです。ワヴデザイン、SHIFTBRAIN、FOURDIGITの3社が共同運営しており、イベント運営をはじめ、学校やメディアの運営、案件紹介、スクール事業など、さまざまな活動を行っています。その活動の一つとして、「Creative Class」というスクール事業も展開しています。さまざまな方を講師に迎え、デザインを学べる場を提供しています。
また、「PLAYGROUND」というスニーカー事業も展開しています。東京と名古屋でスニーカーショップを運営しており、自社とアパレル会社FACEによる共同事業として取り組んでいます。
幅広い活動を展開されているのが印象的です。こうした取り組みは、もともと松本さんのアイデアから始まったのでしょうか。
自社事業については、一緒に取り組めるパートナーとの出会いや、タイミングに恵まれたことが大きいです。IDIDも同様で、もともと存在していたコミュニティに運営として後から参画しました。
もちろん、店舗、デザイン会社、コミュニティを運営したいという思いは以前からなんとなくありました。ただ、それを意図的に進めたというよりは、長い時間の中で適切なタイミングと出会いが重なり、行動に移してきた結果だと思っています。
そうしたタイミングや人との縁に恵まれたことが、現在まで事業を続けられている理由の一つだと感じています。
ありがとうございます。ワヴデザインさんは、クライアントやコミュニティの方々からどのような特徴を持つ会社だと思われているのでしょうか。
クライアントからどのように見られているかは、自分ではなかなかわからない部分もあります。ただ、仕事の多くがリピートにつながっていて、一度お取引したお客さんから再びご依頼をいただくことは非常に多いです。また、お客さんが転職されたあとに転職先からご依頼をいただいたり、弊社の社員が転職した先で新たなお仕事につながったりすることもあります。
そうしたことを踏まえると、お客さんや社員、パートナーを含め、誠意を持ってコミュニケーションを重ねながら関係性を築いていく会社だと思っていただけていたら嬉しいですね。
松本さんはどのような方と一緒にお仕事をすると楽しいと感じますか。
趣味や価値観が合う方と一緒に仕事をするのは楽しいです。自分が興味を持っている分野の仕事には常に取り組みたいと思っていますし、そうしてきたことが今の実績にもつながっているのだと思います。これからも、そうした分野の仕事に携わっていきたいです。
一方で、お客さんに関してはどなたからのご相談でも大歓迎です。弊社はサービスの幅広さが強みなので、さまざまな方と一緒にお仕事ができれば嬉しいです。
チームにはどのようなメンバーが多いのでしょうか。社内の雰囲気について教えてください。
チームには、責任感の強いメンバーが多いですね。仕事に対して非常に真面目に向き合っています。
会社の雰囲気は比較的フラットで、風通しの良い環境だと感じています。社内でも活発に意見が交わされていますし、代表である自分にもさまざまな意見を伝えてくれます。
拝見したコンテンツの中で、「会社の当たり前をやめてみた」という記事が印象的でした。「11ヶ月働き、1ヶ月休む」という実験的なプロジェクトなどを試されてきた背景には、どのような思いがあるのでしょうか。
自分は「働き方そのものをデザインする」という考えを大切にしています。会社のあり方についても、他社と同じではなく、独自の価値観を持っていたい。その方が結果として採用面での強みにもなりますし、自分たちの存在もよりユニークになるからです。
過度な競争に巻き込まれず、自分たちなりの立ち位置を築くためにも、「当たり前をやめる」ということは意識して取り組んでいます。それに、単純に自分自身がそうした考え方に惹かれるんですよね。
オンラインで働くメンバーが多い中で、東京を拠点にしているのはなぜなのでしょうか。
拠点は青山一丁目のシェアオフィスです。会社のメンバーの半分ほどが東京都内にいますが、残りは全国各地にいます。そのため、働く場所にとらわれない体制になっています。
自分自身について言うと、東京に長く住み続けたいという強い意識があるわけではなく、状況に応じて変わっていく可能性はあると思っています。
一方で、会社として東京に拠点を置いていることには明確な理由があります。東京にある方が相談をいただきやすい時もあるからです。
先ほどお話ししたように、私たちは「当たり前をやめる」という価値観を大切にしています。フルリモートで、小さなオフィスを構えながら事業を展開している一方で、多くの人が知る企業とも仕事をしている。そうした一見ギャップのあるあり方が、自分たちらしさにつながっているのだと思います。その意味でも、会社を東京に置くことは意識的な選択です。

松本さんご自身のキャリアについてお聞かせください。独立される前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか。また、以前から起業を考えていたのですか。
もともと洋服が好きだったので、大学卒業後はアパレルショップの販売員として働いていました。当時、マッキントッシュが普及し始め、絵を描けなくてもデザインに挑戦できる時代になってきました。
販売員として働きながら友人からマッキントッシュを購入し、本を読みながらIllustratorなどのデザインソフトを学び始めました。そして2年ほど経った頃、「グラフィックデザイナーとして働いてみたい」と思うようになりました。きっかけは本当に些細で、「グラフィックデザイナー」という響きがかっこいいと思ったことです。
その後、グラフィックデザイン事務所で約2年間働きました。当時はソフトが使えて、ある程度受け答えができれば就職できた時代だったのかもしれません。ただ、今振り返ると、自分はそれほど活躍できていなかったと思います。
その後は、以前アパレルで一緒に働いていた友人たちが立ち上げた会社でグラフィックデザイナーとして働くことになりました。Tシャツやタグ、下げ札のデザインをはじめ、カタログやWebサイトの制作などを手がけていました。
販売員として2年、デザイン事務所で2年、友人の会社で2年。合計6年ほど経験を積んだ頃には、27〜28歳になっていました。
友人たちが会社を立ち上げる様子を間近で見ていたこともあり、会社の作り方や税理士とのやり取り、各種手続きなどを自然と知る機会がありました。そうした経験から、自分も会社をやってみたいと考えるようになりました。
独立当時、具体的なビジョンを描いていたわけではありません。ただ、仕事の広がりを感じていたこともあり、「会社員として働くより、自分でやる方が向いているかもしれない」という思いが強くなっていました。友人からの仕事も見込めていたため、数カ月分の売上の目処が立った段階で独立を決めました。
起業されてから現在に至るまでの間で、会社にとってターニングポイントになった出来事があれば教えてください。
独立して2〜3年ほど経った頃、一人でやっていくことの大変さを感じていました。そこで、現在も会社にいる中村と渡辺の二人を誘って一緒に経営に取り組むことにしました。
常に相談できる相手や、売上について同じ目線で考えられる人、会社の将来について共に考えられる人がいてほしいと思っていたんです。その二人が経営に加わってくれたことが、会社にとって大きな転機になったと思います。
先ほど、さまざまな領域のデザインを手がけているとお話しされていましたが、そのような体制になったきっかけは何だったのでしょうか。また、幅広い領域を手がけることは、当初から考えていたのでしょうか。
一つは、柔軟でありたいという考えがあったからです。新しい相談や機会をいただいた際には、その都度真摯に向き合い、自分たちなりの価値を提供しています。理念や方向性を強く掲げていたというよりも、まずはデザインという仕事を通じて、さまざまな課題や要望に応えていくことを大切にしていました。
もちろん、自分たちが目指したいデザインのあり方はあります。ただ、それだけに限定するのではなく、多様なクライアントやプロジェクトに柔軟に対応することで、より長く事業を続けていけると考えています。継続的に仕事に向き合う機会があるからこそ、自分たちの力を磨き、発揮することもできます。そうした積み重ねが、現在の体制につながっているのだと思います。
あと二つ要因があります。
一つは時代の変化です。もともとはグラフィックデザインが中心でしたが、その後Webのニーズが生まれ、さらにUI・UX、SNSへと求められる領域が広がっていきました。同時に、サイトやSNSの閲覧数など、定量的な評価も求められるようになり、レポート作成なども必要になりました。そうした時代の変化に対応していった結果、サービスの幅も広がりました。
もう一つはメンバーの存在です。そうしたスキルを持つ人材を採用したり、入社後に新たなスキルを身につけたりすることで、対応できる領域も広くなりました。
会社を経営される中で、特に印象に残っている嬉しかった出来事や思い出を教えてください。
たくさんあります。メンバーとミーティングをしたり、雑談をしたりする日常的な時間も、楽しさの一つですね。また、メンバーにしっかりと給与や賞与を支給できた時は嬉しいですし、最近はアワードを受賞できたことも大きな喜びでした。
会社を長く続けてきた今は、自分自身のことよりも、メンバーの活躍や成長に喜びを感じることが増えました。案件を獲得できたことや、給与が上がったことで実現したいことの話を聞くと嬉しいですし、人に教えることにもやりがいを感じています。
振り返ってみると、大きな仕事を任せていただいたことや、お客さんに喜んでいただいたことなど、印象に残る出来事は数えきれません。年末の忘年会でメンバーと焼肉へ行き、「楽しかったね」と振り返るような時間も含めて、全てが大切な思い出になっています。
逆に、これまで苦労した経験や、そこから得た学びについて教えてください。
苦労もたくさんありました。やはり、仕事があるかないかというのは大きな課題ですね。大きな仕事を受注して喜んでいても、その後リピートにつながらなければ、売上に対する不安は生まれます。
また、スキルの高い人材が入社してくれるのは嬉しいことですが、そうした人ほど転職や独立を選ぶこともあります。メンバーが退職すると寂しさもありますし、経営者としては、今の品質を維持できるだろうかという不安も感じます。
そのほかにも、仕事で失敗をしてお客さんを怒らせてしまったり、納得のいく成果物を提供できなかったり、期待に応えられなかったりすることもあります。そうした悩みや課題は昔も今もありますが、その都度向き合いながら続けてきました。
そうした経験を通じて、ご自身なりの仕事観や経営哲学のようなものは生まれましたか。
意識しているのは、「今」と「自分」にフォーカスすることです。他人は変えられないので、自分がどうするかに集中するようにしています。悩んでいる時は視野が狭くなっていることが多いため、その日のうちに結論を出さず、翌日に改めて考えるようにしています。3年、5年、10年という長いスパンで捉えると、そこまで大きな問題ではないと気づくことも少なくありません。
頭の中が整理できなくなった時は、Slackに自分宛てのメッセージを書いています。今起きていることをすべて言語化し、優先順位をつけて整理することで、対処法を考えます。
また、散歩などの運動をすることもあります。気分を切り替え、頭をクリアにするためです。そうやって状況を整理しながら対処法を考えることは、自分に合っていると感じています。
これらの考え方の根底にあるのは「他人は他人、自分は自分」という価値観です。これは冷たい意味ではなく、一人ひとりの考え方や選択を大事にするという意味です。相手には相手の思いや様々な事情があり、その事実は変えられないという前提で、それをどう理解し折り合いをつけるかを考えています。
また、プライベートでも仕事でも、人に依存しすぎないことを意識しています。これも冷たい意味ではありません。人にはそれぞれの人生があると思っています。会社のメンバーに対しても、「この人が辞めたら困る」と考えすぎるのではなく、その人の人生や選択を尊重したいと思っています。また、自分とは異なる立場や視点から意見を伝えてくれているのだと捉えるようにしています。
ここまで会社を続けてこられた原動力について、伺いたいです。松本さんがクリエイティブの仕事に向き合い続ける理由は何でしょうか。
やっていること自体がすごく楽しいんですよね。なぜいろいろなことができているのかというと、来たものに対して柔軟に「どうやったらできるだろう」と考えてきたからです。
声をかけていただけるうちが華だとも思っていますし、いただいた案件にはできるだけ応えたいと思っています。何か誘いがあれば、基本的には挑戦してみたいです。
そうして動き続けていると、さらに新しい機会が生まれます。大きな目標に向かって熱量で突き進んできたというというよりも、目の前にある機会に応え続けてきた。声をかけていただいたことに応え続けてきた。その積み重ねによって、活動領域が広がっていきました。

これからのクリエイティブ業界に期待していることはありますか。
クリエイターの地位がさらに向上し、社会にとって価値のある存在として、また企業の経済活動において重要な人材として認識されるようになるといいなと思っています。
クリエイティブによって売上が伸びたり、企業やブランドのイメージが向上したりする。すでにそうした価値を発揮している方もいますが、業界全体としてはまだ伸びしろがあると感じています。
続いて、会社としてこれから挑戦したいことがあれば教えてください。
会社として挑戦したいことはたくさんあります。
まずは、メンバーの給与を上げていくことです。同じ時間を働きながら、より良い待遇を実現していきたいと思っています。やりがいのある仕事があり、待遇にも恵まれ、良い仲間と働ける。そうした環境をさらに充実させていきたいですね。
また、やりがいという観点で、日本国内に限らず、海外の案件にも少しずつ取り組んでいきたいです。
さらに、会社としての規模や経済規模を拡大していくことにも挑戦したいと思っています。単純に一緒に働く人数を増やしていくことも、その一つです。
加えて、事業領域もまだまだ広げていきたいです。現在はデザインを中心としていますが、今後はプロダクトデザインのような分野に広がる可能性もあります。提供できる価値の幅がさらに広がっていくと面白いですし、業務領域もこれからさらに拡大していけたらと思っています。
そうした目標を実現する上で、どのような組織を目指しているのでしょうか。また、そのために取り組んでいることがあれば教えてください。
やはり「個人を尊重する」という考え方が好きなんです。だからこそ、会社がプラットフォームのような存在になり、メンバーが自分の意思で動くことができる環境を目指しています。メンバーが裁量権を持って主体的に行動できるようになれば、組織もより面白い形になっていくと思っています。
現在、会社にはディレクターやデザイナー、コーダーなどさまざまな役割がありますが、誰もが案件を選び、チームを組み、責任を持って進行するところまでを主体的に担える仕組みへと変えているところです。会社に案件の相談が来た際には、興味のある人が手を挙げてチームをつくり、提案していく。ディレクターでもデザイナーでもコーダーでも、役割に関係なく案件の起点になれる形を目指しています。
なぜそうしたいのかというと、自ら決めて実行した方が満足度は高いと考えているからです。大変なことがあっても納得感を持って取り組めますし、うまくいった時の喜びも大きくなります。
メンバー一人ひとりが行動の起点となれる仕組みをつくることで、経営陣も想像していなかったような活躍が生まれるかもしれません。そんな組織にしていきたいと思っています。
ここまでお話を伺う中で、松本さんがメンバーをとても大切にされていることが伝わってきました。松本さんにとって、仲間とはどのような存在でしょうか。
会社の仲間は、単なる同僚というよりも「戦友」という表現が近いと思います。
冒頭でお話ししたように、自分にとって趣味の多くは、そのまま仕事につながっています。洋服が好きでスニーカーショップを経営していますし、旅行が好きだからこそホテルのサインやロゴのデザインを手掛けることもあります。インテリアが好きなので住宅のプロモーションに携わることもありますし、幼児教育への興味から学校のブランディングを手掛けることもあります。
このように、興味のあることがそのまま仕事になっていて、ライフワークとして続いているのが自分のクリエイターとしてのスタイルです。そのため、普段関わる人の多くは何らかのプロジェクトを共に進める仲間でもあります。
もちろん雑談をしたり、一緒に楽しんだりすることもあります。ただ、根底には「案件を成功させる」という共通の目標があります。そういう意味で、仲間は同じ目標を共有しながら、一緒に前へ進む存在ですね。
ご自身のプライベートと仕事の境界が自然につながっている松本さんですが、改めて、仕事とはご自身にとってどのような存在でしょうか。
自分にとって仕事は、興味のあることを深めたり、広げたりするためのものなのだと思います。仕事とプライベートを明確に分けて考えることはあまりなく、興味を持ったことが自然と仕事につながっていく感覚があります。
そのため、仕事とは関係のない純粋な趣味のようなものはほとんどありません。何かに興味を持つと、「どうしたら仕事につながるだろう」と考えることが多いですね。ただ、最初から仕事にしようと思って始めたわけではありません。旅行もそうですが、続けていくうちに「これが仕事になったら面白いな」と考えるようになり、一つ実績ができると、その実績が次の仕事につながっていきます。
もちろん、まったく知らない分野の仕事に挑戦することも楽しいですし、そこから新しい興味が生まれることもあります。ただ、自分がもともと関心を持っている分野の方が、案件の相談をいただきやすいですし、自分自身も力を発揮しやすいと感じています。
実際に、自分は地域に関わる仕事も好きなのですが、それは旅行を通じてさまざまな土地を見ることが好きだからだと思います。地域の仕事が増えると現地へ足を運ぶ機会も増えますし、プロデューサーとして自分が訪れることもあります。そうした形で、興味のあることと仕事が自然につながっているのが、自分らしい働き方ですね。
好きなことを追求する情熱がありながらも、仕事として成立させるための合理的な視点も大切にされているんですね。
そうですね。合理性はあると思います。
ただ、やはり好きなことでないと難しいですね。会社を始めた頃は、自分があまり興味を持てない分野のデザインでは、なかなか力を発揮できませんでした。
一方で、好きなものに関わる仕事では力を発揮しやすくなります。自然と熱量も生まれますし、自分の体験をもとに提案することもできます。例えば、「実際にこういう施設を見て、自分はこう感じました。その体験を、あなたの施設のデザインにも活かせます」といった話が自然にできるんです。
ありがとうございます。最後に、この記事を読んでいる方へメッセージがあればお願いします。
自分は「今の時代に生きている」という感覚を強く持っています。歴史が好きで、時々もし違う時代に生まれていたらどう生きていたのだろう?と想像することもあります。ただ、今この時代に生きているからこそ、その時代らしく生きたいと思っています。
仕事についても、お金のために働くというより、楽しいから仕事をするという感覚に近いです。好きなことや楽しいことを仕事にできた方が、人生の中で楽しい時間は増えると思っています。
今はAIが登場し、働き方が大きく変わろうとしています。もちろんAIが台頭することのマイナスの側面もあると思いますが、自分はどちらかというと面白さに目を向けています。AIと一緒に働く時代を初めて経験できること自体が、とても興味深いことですよね。
例えば、初めてiPhoneに触れた時や、電気自動車に乗った時のように、「こんな体験があるんだ!」と実感する瞬間があります。AIも同じで、「AIと働くというのはこういうことなんだ」と体験しながら理解していく時代なのだと思います。そして、その体験によって自分たちの発想やインスピレーションも変わり、つくるものも変わっていくはずです。
インテリアで今でも残っている名作と呼ばれるものには、その時代の背景が色濃く反映されています。工業化が進んだからこそ生まれたデザインもありますし、素材や技術の制約によって形づくられたものもあります。
だからこそ、自分が2026年という時代に生きているのであれば、その時代背景を受け止めた上でものづくりをするべきだと思っています。AIを使ったものづくりも自然なことですし、AIがあるからこそ、逆に手仕事の価値が高まる部分もあると思います。AIと対立するのではなく、一緒に楽しみながら働いていけたらいいですよね。
あとは、人と比べすぎなくてもいいと思っています。自分も比べてしまうことはありますが、それよりも肩の力を抜いて、自分が楽しいと思えることを大切にした方がいいと意識して考えるようにしています。
もちろん、楽しいことばかりではありません。スキルを身につけたり、難しいことに挑戦したりするのは大変です。ただ、自分は昔から難しい方を選ぶのが好きなんです。難しい問題を解けた時の方が面白いですし、振り返ってみると、余裕がなかった時間も長い目で見れば楽しい時間だったと思えます。
AIに不安を感じているクリエイターも多いと思いますが、その変化を前向きに楽しもうとする姿勢が印象的です。
同じ時間が過ぎるのであれば、まだ起きてもいないことを心配して過ごすより、楽しいことに目を向けていたいです。
自分は予定を入れるのが好きで、今年のこれからの予定もGoogleカレンダーに入れています。まだ確定していないことでも、「この時期は京都の紅葉を見に行こう」とか、「沖縄に行こう」「長野に行こう」「東南アジアに行こう」といった予定を書き込んでおくんです。
そうやって、自分で楽しい予定をつくるようにしています。それを見るだけでも楽しいんですよね。もちろん日々嫌なことや失敗もあります。ただ、なるべく「今」と「自分」にフォーカスして、必要以上に考えすぎないようにしています。
若い頃はなかなかそれができませんでした。20代や30代は、「何者かになること」や「結果を残すこと」に価値を感じる時期ですし、それはとても自然なことです。ただ、45歳、50歳と年齢を重ねるにつれて、自分のことよりも人の役に立つことへの関心が強くなりました。プレイヤーとして成果を出すことよりも、誰かに教えたり、成長を支えたりすることに面白さを感じるようになっています。
だから今、悩んだり焦ったりしている人がいたとしても、その気持ちはとても自然なものです。少し先には、また違う景色が見える時期もきっと来ます。あまり考えすぎず、自分のペースで進んでいけばいいと思っています。