
お金だけでは買えないTシャツ屋さん、期間限定で開店。
with United Athle

2026年7月1日
東京に関わるクリエイティブなプロジェクト・作品・ブランドをピックアップする「Behind The Scene」シリーズ。今回は、マルチに活動するアーティストRyotaによるアパレルブランドPibesona™︎ Faceを紹介します。 アートと商いのあいだで、創作をどう続けていくのかを模索する中で生まれたPibesona™︎ Face。顔のアートワークを軸に展開するこのブランドから、日常の中で自由を感じるための小さなヒントを探ります。
マルチアーティストRyotaによるアパレルブランド。アートプロジェクトPibesona™︎から派生し、顔のアートワークを中心にTシャツなどのアイテムを展開している。
Pibesona™︎が「Play It By Ear=アドリブ」で生きるペルソナの物語を軸にしたプロジェクトであるのに対し、Pibesona™︎ Faceではその思想をより伝わりやすく、手に取りやすい形で表現する。


Pibesona™︎ Faceを紹介するにあたって、まずPibesona™︎というアートプロジェク トを紹介する必要がある。Pibesona™︎では「Play It By Ear=アドリブ」で生きるペ ルソナ一人ひとりにアイテムをデザインし、アイテムを見せずにそれぞれのペルソ ナの物語を文章で表す。常に購入できる商品は、小説のみ。一般にはアイテムを購入できず、唯一いつでもオーダーできる人は、アイテムが登場する小説を読んだ人のみ。Instagramに映るのはそれぞれのペルソナのインタビューや私物ばかりで、 肝心のアイテムは全て黒塗りされている。そんなアートプロジェクトは、個人的で ありながらも情熱を注ぎながら活動を続けてきたファウンダーの「聖域」であり、 どれだけキャッチーなデザインかを見せつけて、服をバズらせようとするスモール ブランド達への反発でもある。これはアートへの情熱を安全に保つために必要な仕 組みだったと、1つ目のコレクションを作り終えた今なら分かる。


この仕組みそのものはユニークだが、それ故の「繋がりにくさ」は生まれてし まった。必ずしも分かりやすいものではないし、Tシャツを通して新しい世界と出 会うのは難しくなってしまったのも確かだ。では、また作ればいい。フランスの巨匠も、病で床に伏せて筆が握れなくなっても創作をやめなかった。絵が描けないなら、切り絵をすればいいと。彼に倣って、どんな環境でも創作を続けるために Pibesona™︎ Faceを「商いとして持続可能なブランド」として誕生させたのはそうい う経緯だった。ここで使うのは、文字通り顔のアートワークがメインになる。とに かく伝わりやすく、それでもアートへのリスペクトを忘れずに。それがこのブラン ドの根源である。なのでPibesona™︎ のロゴが「顔」の中に隠されているし、 Instagramではただの商品写真ではなく、商品を使ったアートワークが紹介されて いる。


「アドリブ」は、芸術の世界では即興でパフォーマンスすることを指すが、これ はアーティストのためだけのブランドではないし、誰だってプランを全くせずに生 活するのはもう不可能に近い。それでは現代社会における「アドリブ」とは何か。 答えは簡単で、「手軽に自由を感じる手段」である。予定と制限が詰まった生活の 中で、3分だけアドリブでペンを走らせてみる。15分だけでもアドリブで歩いてみ る。2時間の間アドリブで見る映画を決めてみる。たったそれだけで感じられる自
由を後押しするのが、Pibesona™︎ Faceだ。その体験を元に繋がって、輪が大きく なっていく。「商いとして持続可能なブランド」の先には、「人類として持続可能 な考え方=アドリブ」が広がっていくと信じている。