UMU Tokyo

umu(うむ)は、東京にゆかりのある国内外のクリエイターにインタビューし、そのリアルな声や生き方を日英バイリンガルで発信するインディペンデント・メディアです。

ワーホリから始まった、独学グラフィックデザインの道

725

2025年8月17日

ワーホリから始まった、独学グラフィックデザインの道

2020年、725は、ホスピタリティ業でのキャリアを思い描いていた道から一転、グラフィック&Webデザイナーとして歩み始めました。そのきっかけは、オーストラリアでのワーキングホリデー。そこで出会った情熱的なクリエイターたちとの交流が、地方で育った彼女の仕事への価値観を大きく揺さぶりました。今回のインタビューでは、デザインとの出会いが人生をどう変えたのか、創造性と戦略のバランス、地方とは違う東京で感じる自由さ、そして同じ情熱を持つ仲間とともにumuというメディアプラットフォームを成長させ、意味のあるプロジェクトを生み出していくというビジョンについて語りました。

自己紹介

自己紹介をお願いします。

独学でデザインを学び、デザイナー6年目になりました。会社員とフリーランスの両方で活動しています。主にグラフィックデザインを手がけ、特にロゴ制作が好きですが、VI(ビジュアル・アイデンティティ)やWebデザイン、印刷物など幅広く制作しています。現在はインタビューメディアやデザインのキュレーションメディアも立ち上げており、素敵な人や作品とつながり、それらを世界にシェアしていくことにも力を入れています。

きっかけ

デザインを始めたきっかけや、その背景にあるストーリーは何ですか?

きっかけは、大学2年を終えたあとに1年間休学して、ワーキングホリデーでオーストラリアに行ったことでした。 私は日本の田舎育ちで、進学して就職、結婚して子どもを持ち、家を買って、同じ会社で何十年も働く──そんな“決まったレール”のような人生が当たり前だと思っていました。 でもオーストラリアでは、ミュージシャンやDJ、フォトグラファー、俳優など、自分の仕事について話すときに本当に目を輝かせる人たちに出会ったんです。それまで「仕事はみんな嫌々やるもの」だと思っていた私にとって、それは衝撃でした。 その会話をきっかけに「自分は何が好きで、何をしていると楽しいんだろう?」と考えるようになり、子どもの頃に絵を描いたり、紙で小さな雑誌や本を作って母に渡したりしていたことを思い出しました。 そこでiPadを買って絵日記を始め、スケッチをSNSに投稿してみたら、「いいね」と言ってくれる人がいて、それがすごく嬉しくて。本気でやってみようと思うようになりました。日本に帰ってからはWebデザインを学び、グラフィック/webデザイナーのアルバイトに採用されて、そこから私のクリエイティブなキャリアがスタートしました。

興味からキャリアへはどうつながったのですか?

私の場合、趣味から始めたというより、最初から仕事にしようとして始めた感じです。Webデザインというのはあまり趣味でやるものではないので、勉強したあとそのまま仕事につながりました。最初のうちは「デザイナーです」と名乗るのに抵抗があって、「まだ勉強中です」と言っていたんですが、2020年6月にアルバイトのWebデザイナーとして初出勤した日からは、はっきりと「私はデザイナーです」と言えるようになりました。

最初のプロジェクトについて教えてください。

Webデザインの仕事を始める前に、父の友人でバイオリニストの方のコンサートチラシをデザインしました。練習のつもりだったので、お金をいただくつもりはなかったのですが、「ぜひ払わせてほしい」と言ってくださって。私の中では、お金を稼ぐというのは職場に行って決められた時間働くものという感覚しかなかったので、自宅のソファでパソコンに向かって作った“デジタルのもの”に対してお金をいただくというのは、とても新鮮で不思議な感覚でした。その経験で、お金の稼ぎ方に対する考え方が変わりました。

価値観の定義

あなたにとってデザインとは何ですか?

私にとってデザインは、何よりも深く集中できるものです。私は自分の内面や感情を表現するという意味での「アーティスト」ではありませんが、具体的な目的やクライアントのビジョンがあって、それを形にする時に一番力を発揮できます。デザインは技術・創造性・戦略・ビジネスがバランスよく混ざり合っていて、その組み合わせが私の性格や考え方にとても合っていると感じます。

デザインはあなたの人生にどんな影響を与えましたか?

本当にすべてが変わりました。外国語学部だったので、ホテルのフロントで働くような仕事をするんだろうなと思っていたんですが、デザインを始めてからは、人と一緒に作り上げたり、モチベーションが上がるような会話をしたりする機会がぐっと増えました。人は自分が思っている以上にデザインを必要としていて、アイデアやブランドの話をしていると、「じゃあ一緒にやってみよう」という流れになることもよくあります。内向的な私にとって、そうやって誰かと集中して何かを作る時間は、とても大切でかけがえのないものです。それは必ずしもお金のためだけではありません。

日本や東京への想い

東京はあなたにとってどんな場所ですか?

チャンスと自由がある場所です。私が育った田舎の価値観と比べると、東京は自分の道を自分で選べる街だと感じます。日本全体としては、礼儀や周りに合わせることが重んじられ、少し保守的な一面がありますが、東京にはもっと自由があって、自分らしいやり方を信じてもらえる雰囲気があります。 フィリピン、オーストラリア、イギリスに短期間ずつ滞在しました。日本に戻って感じたのは、言葉にされなくても強く存在する社会的な圧力です。人の考え方は、一緒に過ごす人たちによって大きく左右されます。東京でさまざまなコミュニティの人たちと関わるようになってからは、自分の視野がぐっと広がったと感じます。

これからの道のり

目標や達成したいことは何ですか?

人や気候が大好きなので、またオーストラリアに戻りたいと思っています。そしてumuをもっと大きく、力のあるメディアプラットフォームに育てたいです。もっと広い意味では、「ただのデザイナー」にとどまらず、自分が作ることで人が少しでも幸せになれるようなものを、肩書きやクライアントの規模に関係なく楽しんで作り続けたいと思っています。同じエネルギーや情熱を持った人たちと一緒に、意味のあるものを形にしていきたいです。

大きな目標に向けて、小さな一歩を踏み出すあなたなりの方法は?

正直、私はルーティンをこなすのがあまり得意ではありません。だからこそ、あえて他の人を巻き込んで、自分に責任が生まれる状況を作ります。そうすると後戻りしにくくなって、自然と前に進めるんです。

気分が落ち込んだり、やる気が出ないときはどうリセットしますか?

いったん環境ややっていることを切り替えて、休むようにしています。寝たり、少しSNSを眺めたり、シャワーを浴びたり、散歩に出かけたり。友達と飲みに行ったり、買い物をしたりすることもあります。そうやって一度気持ちを離すと、またエネルギーを持って戻ってこられるんです。

届けたいメッセージ

デザインを始めたばかりの人に、どんなアドバイスをしますか?

持っているつながりは全部活用してください。友人や家族、ご近所さん、行きつけのお店など、身近な人や場所にも声をかけてみましょう。机上の勉強も大事ですが、実際の現場で得られる経験もすごく価値があります。もし迷ったり行き詰まったりしても、とにかく動き続けること。目の前にあるチャンスは逃さずつかみ、全力で取り組んでください。

Follow and connect with 725 below...

インタビュー出演者を募集しています!

東京にゆかりのある国内外のクリエイターの方 — グラフィックデザイナー、イラストレーター、フォトグラファー、映像作家、ミュージシャン、ファッションデザイナーなど、ジャンルを問わず幅広く募集しています。

Apply